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高校生や大学生のみなさんへ

村上研究室の研究内容の一部は、高校生向けの外部サイト(夢ナビ講義(2つ)・スタディサプリ進路)で紹介されています。まずはそちらから見た方がわかりやすいかもしれません。

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界面で「空間・機能」を創る

界面で「形態」を創る

界面の「現象」を制御する


その先にあるバイオマテリアルの新展開

私たちの研究室では、多糖やタンパク質などの生体高分子や、「ブロック共重合体」という少し特殊な合成高分子に着目しています。これらのさまざまな高分子を巧みに組み合わせ、医療に応用できる材料(バイオマテリアル)の開発に取り組んでいます。また、界面現象をともなう系(水/有機溶媒系や水性二相系)における相分離・自己乳化・ゾルゲル転移などにも着目して、さまざまなバイオマテリアルの作製技術の開発にも取り組んでいます。

ブロック共重合体は、「性質が異なる複数の高分子が連結した」高分子です。一般に、「親水性の高分子」と「疎水性の高分子」は水と油の関係にあり、お互いが分離しようとします。しかし、ブロック共重合体の分子内では、これらの高分子が分離することができないため、分子レベルの相分離構造(ミセル構造やシリンダー構造など)が出現します。特に、水中で形成されるミセル構造は、抗がん剤などの疎水性物質を容易に内包できる性質から、その医療応用が盛んに検討されています。

生体高分子の性質を操る

【技術開発目標】多糖の機能化と材料応用

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多糖は、多数(通常は20個以上)の単糖がグリコシド結合によって連なった生体高分子です。本研究室では、主に以下の多糖に着目して、さまざまな機能化技術の確立とその材料応用を検討しています。

● ヒアルロン酸 ・・・ 生体内に広く分布し、皮膚、軟骨、眼球などで特に重要な役割を果たす多糖
● キトサン ・・・カニやエビなどの甲殻類の外骨格から得られるキチンを脱アセチル化した多糖
● カラギーナン ・・・紅藻類のツノマタ、スギノリ由来の多糖
● ゲランガム ・・・ 真正細菌であるPseudomonas elodeaによって合成される多糖

界面で「空間・機能」を創る

【材料開発目標】治療用ゲル・シート(組織接着材、止血材、癒着防止材、創傷被覆材・・・)

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ゲルは高分子が絡まり合って形成した網目状の構造体です。身近な例を示すと、ゼリー、おむつ、こんにゃく、豆腐、寒天などもゲルです。 

本研究室では、「ミセルを内部に組み込む」ことによって、「生体組織に接着して、薬物を放出する」医療用ゲルの開発を目指しています。ブロック共重合体がゲルの内部で界面を形成することによって、薬物を保持できる「空間」や薬物放出を制御できる「機能」をゲルに与えることができます。
このゲルは生体軟組織に対して高い接着性を示し [画像A・B]、高い止血効果を示します。さらにこのゲルはシート状に加工することができ(ゲルシート [画像C])、創傷治癒(傷口を治す)効果を示します

このアプローチをさらに応用して、「親水性物質を保持できる医療用シート」の作製にも成功しています [画像D]。さらに最近は、細胞接着性ペプチドを導入した多糖とミセルを組み合わせることによって、生体組織接着性と薬物徐放性を兼ね備えた多糖シートの開発にも取り組んでいます。

また、このアプローチに関連して、タンパク質を認識する動的な架橋構造を導入したゲル [画像E] や、ミセルと多糖を複合化した経口製剤 [画像F] の開発も進めています。

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界面で「形態」を創る

【材料開発目標】タンパク質の放出挙動を制御できる粒子

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本研究室では、「タンパク質などの親水性物質を保持可能な粒子」の開発も目指しています。この研究を進める上でのキーワードが、界面現象をともなう系(水/有機溶媒系や水性二相系)における「相分離現象・乳化現象・ゾル-ゲル転移現象」です。

水と有機溶媒(あるいは油)が形成する二相系は、非常に単純な相分離系です。本研究室では、この二相系を利用することによって、表面機能化ナノ粒子を簡便に作製する技術を開発しました [画像G]
。現在は、マンノースを修飾した両親媒性ブロック共重合体を用い、親水性物質を保持可能ながん細胞特異的薬物キャリアへの展開も検討しています。さらに、多糖のゾル-ゲル転移を巧みに利用することによって、多糖マイクロゲルの開発にも成功しています [画像H]。

 

また、二種類の水溶性高分子、あるいは水溶性高分子と無機塩を純水に溶解することによって、水溶液が自発的に相分離した水性二相系が得られます。撹拌した水性二相系の分散相にタンパク質や多糖を特異的に分配させることができれば、生体高分子を保持可能なゲル微粒子を作製することができます。

さらに、60分子が会合するencapsulin(タンパク質の一種)に着目し、親水性タンパク質を内包可能なencapsulin中空ナノ粒子の開発にも成功しました [画像I]。粒子の解離・再構成にともなう界面現象を巧みに利用した粒子作製の一例になります。

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界面の「現象」を制御する

【材料開発目標】薬物の経肺投与を可能にする「世界で一番軽い粒子」

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経肺投与は、薬物(あるいは薬物キャリア)を吸入して肺へ送達する手法です。経肺投与に適した薬物キャリアは、(1) 粒子径が1~3μm程度である、(2) 粒子が軽く吸気の流れに乗りやすい、(3) 肺胞に到達後は薬物を迅速に放出する、などの条件を満たす必要があります。しかし、条件(1)(3)は粒子の作製条件の制御によって達成できますが、条件(2)の達成は容易ではありません。条件(2)を満たす有望な材料形態は「多孔質」です。

 

本研究室では、「特定の高分子乳化剤の存在下で水と油を接触させるだけで、自然に乳化が進行する現象(自己乳化現象 [画像J])を発見しています。この自己乳化現象を粒子形成のプロセスで利用する独自のアプローチによって、「『1回のみ』の乳化操作で『多孔質』粒子を作製する」新技術を確立しました。現在までに、この新技術によってタップ密度が極めて低い「超低密度」多孔質粒子の作製に成功しています(世界で一番軽い粒子です [画像K])。得られた「超低密度」多孔質粒子は空気動力学特性に優れており、肺胞まで到達可能であることを明らかにしています。さらにこの手法を応用することによって、多孔質シート [画像L] を作製する新技術も提案しています。

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